漢方薬は耳鼻咽喉科領域において多く使用されています。風邪や花粉症、めまい、耳鳴りや喉の違和感などの様々な身体の不調に対して効果が期待できます。
はじめに
当院では漢方治療を積極的に取り入れております。
漢方薬は本来、草や木、動物や鉱物など自然にある天然の生薬をお茶のように煎じて飲むお薬でありますが、現在は生薬から抽出したエキスを顆粒状にしたエキス製剤が主流です。この形式は服用しやすく、携帯もしやすいため、手軽に日常生活に取り入れることができます。
当院ではエキス製剤だけではなく、本来の漢方の服用方法である、生薬をお茶のように煮だして服用する「煎じ薬」も一部取り扱っています。少し手間はかかりますが、その分効果は高いと言われています。
もちろん、漢方薬は健康保険の適用も受けられるため、経済的にも負担が少なく治療を続けられます。
漢方薬の大きな特徴は、個々の患者様の症状や体質に応じてオーダーメイドで対応できる点と、低下した免疫力を高めるなど体質改善に役立つ点にあります。さらに、従来の西洋医学のみでは対応困難な様々な症状に対して効果を示すことがあります。
耳鼻咽喉科領域での漢方薬の使用
花粉症、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻症状に対する治療において、漢方薬は非常に効果的です。西洋薬に比べて眠くならないという利点があり、鼻づまりなどの症状にも非常によく効きます。これまでの治療で効果がなかった場合でも、漢方薬を併用することで症状が劇的に改善することが少なくありません。体質改善の観点からも、漢方薬は花粉症治療の重要な選択肢となります。
いわゆる風邪症状
風邪はウイルス感染症であり、ウイルスに対しては細菌をやっつける抗菌薬は効果がありません。それに対して漢方薬は、自身の闘病反応を高めてウイルスに対抗する力をサポートするため、風邪の治療において非常に理にかなった方法です。風邪の初期から、こじらせて長引いた場合、鼻の症状がつらい、咳がつらい場合など、状況に応じた漢方があります。
耳鳴りやめまい、ストレス
耳鳴りやめまいについても、漢方薬はよく用いられます。西洋薬と組み合わせ、ストレスや疲労によるもの、加齢に伴うものなど、状況に合わせた漢方薬で治療を行います。
冷え性、女性特有の症状
慢性的な冷え性や、更年期障害・月経に伴う不調などの女性特有の症状、イライラ感に対しても漢方薬は特に有効です。
お子様に対する漢方薬の使用
近年、耐性菌の影響で「病院に通っているのに中耳炎が治らない」「治ってもすぐにぶり返す」「鼻水が止まらない」というお子様が増えています。こうしたケースでも、身体にあった漢方薬を使用することで病状を快方に向かわせることが期待できます。漢方薬は苦いという印象がありますが、飲み方を工夫することで多くのお子様が内服可能になります。保護者の方も安心して相談いただけるよう、当院では丁寧な説明を心がけています。
漢方薬の効果と対象疾患
漢方薬が得意とする病気には、先ほど述べたように、以下のようなものがあります。
- 耳鳴り
- めまい
- 副鼻腔炎(ちくのう)
- 風邪の諸症状(初期からこじらせた場合まで)
- のどに何か詰まったような違和感
- 口の渇き、舌の痛み、味覚異常など口内の違和感
- イライラや不安、不眠などストレスに伴う症状全般
- 女性特有の症状
高齢者、小児の方はもちろん、妊婦、授乳中の方にも安心して服用できる漢方薬が多数あります。漢方薬は、個々の患者様に合わせたオーダーメイドの対応が可能であり、(長期的な)体質改善を行いながら、様々な不調を改善することが期待できます。
漢方治療のプロセス
当院では、漢方治療を始めるにあたり、まず患者様の症状や体質を西洋医学と東洋医学の両方の視点から詳しくお伺いします。
従来の西洋治療だけてなく漢方治療も利用することで、患者様の幅広い症状に対して少しでも改善できるよう努めさせていただきます。
さいごに
漢方薬は、天然の生薬を使用し、患者様の体質や症状に合わせたオーダーメイドの治療が可能です。低下した免疫力を高めることで、体質改善を図り、様々な不快な症状を改善します。当院では、漢方治療を通じて、患者様一人ひとりの健康をサポートし、生活の質の向上を目指しています。
漢方治療にご興味のある方や、現在の治療に満足していない方は、ぜひ一度当院の漢方外来にご相談ください。西洋医学だけでなく東洋医学に対しても経験豊富な医師が丁寧に対応し、最適な治療法をご提案いたします。