鼻水の出る仕組み

人の鼻の粘膜からは、常に少量の鼻水(粘液)が分泌されています。それによって、呼吸の際に取り込まれるほこり・ウイルス・細菌・花粉などの異物をキャッチして体内に入るのを防ぐ「フィルター」の役割を果たしています。

風邪をひいて鼻の粘膜に炎症が起こったり、ほこりや花粉などを吸って鼻の粘膜にアレルギー反応が起こると、鼻水の量が増えたり、粘り気を帯びたり、色がついたりします。寒さや乾燥などの環境変化によっても鼻水の状態は変化します。これらは、体が異常を察知し防御反応を起こしているサインなのです。

鼻水による悪影響

本来、鼻水そのものは体を守るために必要なものですが、処理できずにたまったままになってしまうと、さまざまな不調を引き起こしてしまいます。

急性中耳炎・滲出性中耳炎

鼻水や炎症物質が耳管を通って中耳に入り、膿や滲出液がたまってしまうと、耳の痛みを引き起こしたり(急性中耳炎)、聞こえが悪くなったり、言葉の発達に影響することがあります(滲出性中耳炎)。

咳・のどの不調

鼻づまりで口呼吸になると、のどが乾燥してのどを痛めやすくなります。また鼻水がのどに回って咳を誘発することもあります。

副鼻腔炎・気管支への影響

鼻の奥に鼻水が残ると副鼻腔炎につながる場合があり、長引くと気管や肺にまで影響を及ぼすこともあります。

生活の質の低下

鼻水や鼻づまりにより集中力が低下したり、夜眠りにくくなるなど日常生活全体に大きく影響します。特に小さなお子さまは自分で鼻をかむことができないため、より苦痛が強くなります。

鼻水吸引の重要性

鼻水を吸引することは、つらい症状を和らげ、合併症を防ぎ、病状の早期回復につながる大切なケアです。

1.呼吸を楽にする

鼻水吸引で鼻づまりが改善すると、呼吸がしやすくなり、夜も眠りやすくなります。

2.炎症や感染を防ぐ

奥に残った鼻水はウイルスや細菌の温床になりやすいため、吸引でしっかりと取り除くことが中耳炎や副鼻腔炎の予防や改善に役立ちます。

3.薬を減らす助けに

こまめに鼻水の吸引を行うことで、抗菌薬などを使わずに症状が治まるケースもあります。

可能であれば、医療機関で鼻の奥まで「しっかり」鼻水を吸引したうえで、その後はご家庭でもこまめに吸ってあげると、鼻水がたまらず快適に過ごせます。お子さまが自分で鼻をかんだり、ご家庭で吸引をしても、鼻水が取り切れずつらい症状が残るときは、通院での吸引処置を組み合わせるのが良いでしょう。 もちろん、「鼻吸いだけでクリニックに来院する」ことも大丈夫ですので、お気軽にご相談ください。

当院では、診察時にお子さまの状況に応じて、可能な限り「しっかり」鼻水を吸引することを心掛けております。

※発熱症状のある時は、飛沫防止のため処置は基本的に実施しておりません。ご了承ください。

ご自宅で気をつけること

ご家庭でのケアも大切です。

鼻をかむ練習:年齢が上がれば片方ずつ優しくかむ習慣をつけましょう。強くかみすぎると耳に負担がかかります。

家庭用吸引器の利用:市販の吸引器を上手に使うと、ある程度鼻水を取ることができます。

生活環境の工夫:室内の乾燥を防ぐ、空気を清浄に保つ、水分をしっかり取ることなどが大切です。

さいごに

鼻水には体を守る大切なはたらきがありますが、たまりすぎるとさまざまなトラブルにつながります。 ご家庭でのケアとあわせて、必要に応じて医療機関での吸引をご利用ください。 どうぞお気軽にご相談ください。

 
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